この記事で取り上げるトピック:
- はじめに
- ロジック設定
- プロジェクト設定
- Dolby Atmos Music Panner
- Dolby Atmos Music PannerをLogic Proで使用
- Rendererとの同期
- テンプレートプロジェクト
はじめに
このモジュールでは、基本的なLogic Proのセットアップとワークフローを説明します。どちらもLogic Proの練習でさらに詳しく学ぶことができます。
Logic Pro向けのドルビーアトモスワークフローでは、Dolby Audio Bridgeを使用してオーディオをDolby Atmos Rendererにルーティングします。Logic Proには、ネイティブイマーシブパンナ―機能がないため、オブジェクトオーディオのメタデータはDolby Atmos Music PannerプラグインのAUバージョンを使用して作成されます。Dolby Atmos Music Pannerは、Logic Proに依存することなく、Dolby Atmos Rendererとの接続を確立します。
オーディオを個別のベッドチャンネルにルーティングすることも可能ですが、Logic Proにはネイティブの7.1.2.パンナ―が備わっていないため、このトレーニングではオールオブジェクトワークフローを使用します。
ロジック設定
- メニューバーから環境設定に移動します:「Logic Pro」>「Preferences」>「General」
- 「Advanced」タブで「Enable All」を選択します。
- 「Audio」>「Devices」タブの順に移動し、「Core Audio」が有効になっており、「Output Device」が「Dolby Audio Bridge」、「I/O Buffer Size」が「1024」に設定されていることを確認します。
- 「Audio>I/O Assignments」タブで、「Surround format」を「7.1 (3/4.1)」に設定し、出力のルーティングを以下に示す通りに設定します。
- 設定が適用されていることを確認し、「Logic Preferences」ウインドウを閉じます。
プロジェクト設定
- メニューバーから「Project Settings」に移動します:「File」>「Project Settings」>「General」
- 「Audio」>「General」タブの順に移動し、「Sample Rate」がRendererと一致するように設定(48 kHzまたは96 kHz)して、「Surround Format」を「7.1 (3/4.1)」に設定します。
- 「Synchronization」>「General」タブの順に移動し、「Frame Rate」がRendererと一致するように設定します(通常24fps)。
Dolby Atmos Music Pannerプラグイン
Dolby Atmos Music Pannerプラグインがイマーシブオブジェクトオーディオデータを作成し、適切なレンダラー入力にメタデータを送信します。
Dolby Atmos Music Pannerプラグインの基本的な機能には以下を含みます。
- 上下のパンニングを可能にする高さ有効モード
- Freeform(フリーフォーム)、Wedge(ウェッジ)、Dome(ドーム)、Ceiling(シーリング)の4つの高さモード
- 「パック」またはノブのいずれかを使用して、X、Y、Z、およびサイズの座標や値を動的に設定する機能
- 以下のような、さまざまなリンクモードを提供:
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- Mirror X – Xのみをミラーリング
- Mirror Y – Yのみをミラーリング
- Mirror XY – XYをミラーリング
- Copy – あるチャンネルでの操作を別のチャンネルにコピー
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Pannerでは16ステップのシーケンサーも用意されています。
シーケンサーの用途
シーケンサーはシーケンサートグルを使用して作動させます。
シーケンスが有効になると、シーケンサーがオフであったときに作成された既存のX、Y、Z設定は無視され、オブジェクトサイズは維持されます。
シーケンサーはセッションのテンポに固定され、ステップの継続時間はドロップダウンメニューから決めます。オプションは 1/16、1/8、1/4、1/2、1、2、4、8、16、32です。定義された各シーケンスパスはこの間隔で完了します。
シーケンサーの各ステップで動的なオブジェクトパンニングパスを作成・編集します。
シーケンスステップやパスを作成・編集するには:
- ラジオボタンでシーケンサーを有効にすると、ステップ1に白い輪郭が表示されます。
- 「Edit」をクリックしてステップ1のパスを作成します。輪郭が赤色に変わります。
- 4つの描画ツールの内のいずれかを選択し、動的なオブジェクトパスを作成します。
- 描画ツールにはFreeHand(フリーハンド)、Line(線)、Ellipse(楕円)、Rectangle(長方形)があります。
- また、任意でパストリップの方向オプションを使用できます。
- ラウンドトリップパスでは、1ステップ内で描画パスに沿って動き、逆方向に戻るオブジェクトが表示されます。
- リバースボタンパスでは、パスが描かれた方向と逆方向に移動するオブジェクトが表示されます。
- パスを描くと、シーケンサーが次のステップへ進み、ステップに白い輪郭が表示されます。この輪郭は編集可能なコンテンツが含まれていることを示します。作成中となる次のステップは赤色に変わります。また、他のステップをクリックすることもできます。ステップを順序通りに描写する必要はありませんが、再生は順序通りに行われます。
- ステップをスキップまたは無効化したい場合は、赤い輪郭が表示されているときにステップをクリックします。青からグレーに変わり、再生でスキップされることを示します。
- 希望するステップをすべて書き込んだら、「Done」をクリックします。
- 以前作成したステップを編集するには、「Edit」をクリックし、必要に応じて変更を行って、変更が完了したら「Done」をクリックします。
- 「Reset」ボタンを押すとシーケンサーのデータがすべてクリアされます。このボタンは「Edit」モードでもクリックできます。
バーチャルルームに表示される描画パスの色は、以下のステータスを示します。
- 青:オブジェクトパスは有効であり、現在編集不可能なステップ番号ブロックに属しています。
- 白:オブジェクトパスは現在編集可能なステップ番号ブロックに属しています。オブジェクトパスは有効にすることも無効にすることもできます。
- グレー:オブジェクトパスは無効なステップ番号ブロックに属しているため無効になっています。
- また、ブロックは現在編集できません。
Dolby Atmos Music PannerをLogic Proで使用する
- Dolby Atmos Music Pannerをオーディオや楽器の音がロードしたトラックにインサートします。
- Dolby Atmos Music Pannerは「Audio FX」>「Audio Units」 >「Dolby Laboratories」の順に移動すると見つかります。
- トラックオーディオ出力を出力11に割り当てます。
- Dolby Atmos Music Pannerで、「Renderer」フィールドに「localhost」と入力し、Music PannerとRendererとの通信を確立します – 接続ステータスインジケータが緑色になります。
- オブジェクト選択ドロップダウンメニューを使用して、オブジェクト11を選択します。
- 複数のオブジェクトをさまざまなトラック上で作成するには、Music Pannerの各インスタンスのオブジェクトと出力の割り当てが一致するように気を付けながら(例:オブジェクト12を割り当て、出力12に設定)上記のステップを繰り返します。
Rendererとの同期
ドルビーアトモスのマスターファイルを録音するには、RendererとLogic Proを同期する必要があります。これを設定するための最も簡単な方法は生成されたLTC PCM .wavファイルをDolby Audio Bridgeの出力129または130にルーティングされたオーディオトラックで使用することです。
LTC .wavファイルを生成する方法はいくつかありますが、一般的なソースは http://elteesee.pehrhovey.net/ です。生成されたLTC .wav ファイルがプロジェクトのサンプルレートと一致することをご確認ください。LTCフォルダの練習コンテンツには48kHz 24fpsのLTCオーディオファイルが用意されています。
- LTC .wav ファイルが生成されたら、「Track」>「New Tracks」の順に移動、または「Cmd+Option+N」を押してオーディオトラックを新規作成します。新規トラックダイアログで、Audio Inputのないモノオーディオトラックを1つ作成し、「Audio Output」を「Output 129」に設定します。
- トラックの名前を「LTC 129」に変更し、生成されたLTC .wav ファイルをタイムラインの開始点にドラッグアンドドロップします。
- Rendererで、「Preference」ウインドウの「Driver」タブを開き、「External sync source」が「LTC over audio」に、「LTC input channel」が「129」に設定されていることを確認します。
- 同期ボタンをオンに切り替え、Logicで「Play」を押し、Rendererがタイムコードをチェイスしていることを確認します。
- Rendererが録音にドロップする必要があるプリロールを提供するには、他のトラックのコンテンツをセッションの後方(テンポによりますが通常はバー3または5以降)に移動する必要があります。
- 表示の横にある矢印をクリックして、カウンターディスプレイモードを時間に設定します。
- カーソルをタイムラインのオーディオの開始点と終了点に合わせ、Rendererで使用するイン/アウトポイントを決めます。インポイントの前とアウトポイントの後で最も近い整数値を使用してください。
(インポイントで01:00:05:01)
(アウトポイントで01:01:29:17)
- Rendererで録音のイン/アウトポイントを設定します。
- LTCタイムコードに基づいて必要なオフセットをメモします。練習コンテンツとして提供されているLTCファイルは01:00:00:00から始まりますので、タイムコード値は1時間のオフセットとなります。
- 録音されたマスターの過剰なプリロールまたはポストロールは、録音の完了後、RendererからのADM BWFのエクスポートでトリミングできます。
テンプレートプロジェクト
Logic Proテンプレートは現在、Dolby Atmos Music Pannerに付属しており、通常Audio Post Productionで使用するベッド/オブジェクトベースのワークフローを使用します。Dolby Atmos Musicコンテンツを作成するには、「Dolby Atmos Music Template.logicx」というタイトルの練習コンテンツにあるテンプレートを使用してください。
テンプレートプロジェクトには、出力11~32にルーティングされた22のモノオブジェクトオーディオトラック(各トラックにDolby Atmos Music Pannerが付属)、出力33~64にルーティングされた16のステレオオブジェクトオーディオトラック(各トラックにDolby Atmos Music Pannerが付属)、および出力129にルーティングされたLTC用オーディオトラックが含まれています。
テンプレートは、ドルビーアトモスとLogicの機能を試す上で最適な場所であり、練習でご利用いただくこともできます。
ナビゲーション
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