この記事で取り上げるトピック:
- Renderer および Render Remote ウィンドウ インターフェース
- バナー表示
- サーバーの選択
- マスターファイル情報
- Monitor layout(モニターのレイアウト)
- ソースの選択
- トランスポート
- 記録の イン/アウト
- Monitor attenuation(モニターの減衰)
- 入力ステータス
- ルーム構成
- 測定
- ラウドネス測定
- オブジェクトビューとオプション
- CPU メーター
- ステータスとエラーメッセージ
- Dolby Atmos Binaural Settingsプラグインステータス
Dolby Atmos Renderer インターフェースの概要
Dolby Atmos Rendererの「Main Renderer」ウィンドウでは、制作ワークフローに必要な表示要素をすべて備えた直感的なインターフェースを提供しています。この記事では、Rendererアプリケーション本体とほぼ同じ機能を持つRenderer Remoteアプリケーションを紹介しています。
操作面でのアクションのほとんどがRenderer UIの上部で行われます。このエリアには、ソフトウェアの操作モード、マスターファイル、モニタリング機能、トランスポートコントロール、レコーディングコントロールなどのディスプレイやコントロールが含まれています。
UIの下部には、入力ステータス、ルーム構成、出力メーターとリミッティングメーター、リアルタイムのラウドネス測定、オブジェクトビューなどが視覚的に表示されています。
バナーとモードの表示
ヘッダーセクションの左上には、Rendererソフトウェアの名称と動作モードに加え、RendererまたはRenderer Remoteが起動しているかどうかが表示されます。
Renderer Remote のServer セクション
Renderer Remoteアプリケーションの「Server」セクションでは、Renderer RemoteとRMW(Rendering and Mastering Workstation)上のDolby Atmos Rendererとの通信を可能にするために、IPアドレスまたはホスト名を選択または入力することができます。Dolby Atmos Rendererを直接実行する場合や、RMWまたはDAWと同じMacで実行する場合は、Serverセクションは含まれず、適用されません。
ドロップダウンメニューを使って、Renderer RemoteをRMWに接続します。RendererのIPアドレスまたはホスト名を入力して、Renderer RemoteとRendererの間の通信を有効化することができます。または、「Server」のドロップダウンメニューからアドレスを選択することもできます。
「Server」のドロップダウンメニューからRendererのIPアドレスまたはホスト名が選択されると、このフィールドに表示されます。リモート接続が切断されると、このフィールドに「Disconnected」という文字が表示されます。
ドロップダウンメニューの右側にあるServerステータスランプは、Dolby Atmos Renderer RemoteとRMW上のRendererソフトウェア間での以下の通信ステータスを示しています。
- 緑:Renderer RemoteがRendererに接続されています。
- 赤:Renderer RemoteがRendererに接続されていません。
Rendererへの接続を試みた後にステータスライトが赤く表示されている場合は、IPアドレスまたはホスト名を確認し、イーサネット接続をお確かめのうえ、Rendererとの通信を有効にするための手順を繰り返してください。有効なRendererのアドレスは、「Network Information Preferences」に一覧表示されています。
「マスターファイル」セクション
「マスターファイル」セクションでは、マスターファイルの情報が表示され、マスターファイルのロックやロック解除、「First Frame of Action」の設定/変更などのオプションにアクセスできます。FFOA(First Frame of Action)とは、映画用語で、ビジュアルコンテンツが最初に現れるフレームのことを指します。これは通常、1時間のタイムコード(01:00:00:00)に位置しますが、プロジェクトごとの配信仕様によって異なる場合があります。
主要なマスターファイル情報は、マスターファイルセクションに常に表示され、以下の要素を含みます。
- マスターファイルのパスとファイル名 : 現在、Rendererに読み込まれている既存のマスターのパスとファイル名、または新規にマスターを記録する場合のパスとファイル名です。
- マスターファイルの表示矢印:「マスターファイル」セクションの右側にある青い矢印のアイコンから、追加のマスターファイルオプションにアクセスできます。
- マスターファイルのロック状態:ロックアイコンでは、マスターファイルで2つのモードのうちどちらのモードがアクティブになっているかが示されます。閉じたロックは、マスターファイルが読み取り専用で、変更できないことを示します。開いているロックは、マスターファイルが読み取り/書き込みモードになっており、マスターファイルの表示矢印を介して変更できることを示します。
- マスターファイルのロックスイッチ:このスイッチで、マスターファイルのロック状態とロック解除状態を切り替えることができます。ロックされているときは、マスターファイルは読み取り専用となります。ロックされていないときは、マスターファイルは読み取り/書き込みモードになります。マスターを聴き返す際に読み取り専用モードを有効にしたい場合や、マスターへの書き込みを避けたい場合は、スイッチをロック位置に切り替えます。マスターへの記録やパンチイン&アウト記録を行う場合は、スイッチをロック解除の位置に切り替えてください。DAMFパッケージのみ記録、編集が可能です。.wavまたは.mxfファイルは編集のためにロックを解除することはできません。
- フレームレートディスプレイ:このディスプレイは、現在開いているマスターのタイムコードレートをfps(フレーム毎秒)で表示します。または、新しいマスターレコーディングのタイムコードレートを表示します(Driverの環境設定で設定します)。
- FFOAディスプレイ: このディスプレイでは、現在開いているマスターまたは新しいマスターに対するFFOAが (時間: 分: 秒: フレーム の形式で) 表示されます。FFOAは、マスターファイルのロックが解除されている限り、マスターファイルの表示矢印を使って追加(設定されていなかった場合)または変更(設定されていた場合)することができます。
- 開始ディスプレイ:開いているマスターの開始時刻を hh:mm:ss:ff で表示します。
- 終了ディスプレイ:開いているマスターの終了時刻を hh:mm:ss:ff で表示します。
- [Add FFOA] オプションのスイッチとディスプレイ:[Add FFOA] スイッチは、FFOAメタデータのパラメーターを有効にし(形式:hh:mm:ss:ff)、エンコーディングなどの後続のワークフローステップでの参照用にマスターファイルで利用できるようにします。これを有効にすると、フィールドに新しい値を入力することができます。このフィールドには、読み取り専用の再生またはパンチイン/パンチアウト記録用に開いているファイルに対するFFOAが表示されます。パンチイン/パンチアウト記録用にファイルを開いている場合は、値を変更して新しい値をファイルに書き換えることができます。FFOAとインポイントが同じ場合、FFOAの指定は配信仕様に応じて任意となります。
モニタリング レイアウト
ヘッダー左側のバナー表示の下にある「Monitoring(モニタリング)」レイアウトでは、ルームレイアウトを選択するためのドロップダウンメニューのほか、サンプルレートや空間コーディングエミュレーションのステータス(オン/オフ)を示すインジケーターが表示されます。
ドロップダウンメニューでは、モニタリング用のルームレイアウト(またはルーム構成)を選択することができます。ここでは「Physical」(「Room Setup」ウィンドウで設定されたスピーカーのセットアップに基づいた、ルーム内のすべてのスピーカーの物理的なレイアウト)を選択することができます。ダウンミックスのモニタリングレイアウトとして、7.1、5.1、2.0も選択可能です。PhysicalレイアウトのサブセットとしてRendererにあらかじめ定義されたカスタムレイアウトも表示されます( 5.1.4 など)。デフォルトのレイアウトは、「Physical」です。Physicalレイアウトよりも大きなカスタムスピーカーレイアウトを定義することはできません。
選択されたルームレイアウトは、Rendererウィンドウの「Room Configuration」のディスプレイや測定に反映されます。選択されたレイアウトは、新しいマスターを記録する際の記録データには影響しません。
「Monitoring」のドロップダウンメニューの右には、サンプルレートインジケーターがあります。ここでは、Driverの環境設定で設定された、Rendererで使用されているサンプルレート(48 kHzまたは96 kHz)が表示されます。
サンプルレートインジケーターの隣には、空間コーディングのエミュレーションが有効か無効かを示すアイコンが表示されます。有効になっている場合、アイコンは青と白で表示され、モニタリング出力に空間コーディングエミュレーションが適用されていることを示します。無効の場合、アイコンは灰色で表示されます。空間コーディングのエミュレーションは、「Processing」の環境設定でオン/オフを切り替えることができます。
ソース選択
Source(ソース)選択エリアには、リスニングモード「Input」または「Master」を選択するためのボタンが用意されています。
「Input」ボタンをクリックすると、Rendererの入力からのオーディオ(Rendererで設定された処理を含む)をモニタリングすることができます。Rendererは、ドルビーアトモスミックスのライブモニタリング中、マスターのレコーディング中、またはパンチインポイントとパンチアウトポイントの間でアクティブにレコーディングを行っている間は、自動的に「Input」モードになります
「Master」ボタンをクリックすると、開いているマスターファイルのオーディオを聴くことができます。Rendererは、マスターを開くと自動的にMasterモードになります。また、パンチ記録中にパンチインポイントとパンチアウトポイントの外側で再生しているときも同様にMasterモードになります。
マスターの再生時には、「Input」と「Master」の切り替えが可能です。
トランスポートの表示と制御
「Transport」セクションには、モニタリング、再生、レコーディング、外部ソースへの同期などに使用するタイムコードディスプレイとトランスポート制御が含まれています。
「Transport」セクションの左側にあるタイムコードの読み出しには、ライブモニタリング、マスターのレコーディング、またはマスターの再生中に、Rendererのそのときの実行中タイムコードが表示されます(「時間:分:秒:フレーム」の形式)。同期のオン/オフボタンがオンになっている場合、この読み出しは灰色で表示され、Rendererは外部同期に従います。
再生停止中に読み出し内をクリックすれば、マスターの再生を開始するための新しいタイムコードの位置を手動で入力したり、手動でのレコーディングを実行することができます。
実行タイムの読み出しの右側には、Driverの環境設定で設定されたRendererのタイムコードレート(fps)が表示されるインジケーターがあります。マスターが開いている場合、このインジケーターにはマスターのタイムコードレートが表示されます。この場合、Driverの環境設定でレートを調整することはできません。
その他、「Transport」セクションには以下のような制御機能があります。
- 「Sync」ボタン - このボタン(時計のアイコンで表示されています)を有効にすると、Rendererのトランスポートが外部同期ソース(LTC over Audio、MTC、Send/Return sync)に従属するように設定されます。このボタンが無効になっている間は、Rendererトランスポートの制御がアクティブになります。このボタンは、Driverの環境設定で外部同期ソースが設定されている場合に切り替えることができ、デフォルトでは有効になっています。「Sync」ボタンは、有効になると青色で表示されます。
- 「Stop」ボタン - このボタンは、開いているマスターの再生を停止したり、パンチインレコーディングを停止するために使用します。このボタンをクリックすると、タイムコードがその時読み込まれているファイルの開始点に、または 00:00:00:00(ファイルが開かれていない場合)に戻されます。外部同期ソースが有効になっている場合はこのボタンは灰色で表示され、利用することはできません。
- 「Play」ボタン - このボタンは、開いているマスターの再生を開始したり、停止状態でレコーディングが開始された際に記録パスを開始するために使用します。再生中はこのボタンは一時停止ボタンになり(この場合アイコンが更新されます)、クリックするとタイムコードの位置をその時の現在位置に保持します。外部同期ソースが有効になっている場合はこのボタンは灰色で表示され、利用することはできません。
- 「Record Arm」ボタン - このボタンは、レコーディングに向けマスターを準備するボタンです。停止中にクリックすると、ボタンは赤色に点灯し、トランスポートの再生が開始されると同時にレコーディングが開始されます。記録のイン/アウトポイントが定義されている場合、停止中や、再生が定義されたイン/アウトポイント外にある間は、ボタンは点滅し、レコーディングが準備されていることを示します。再生中、記録ボタンを使ってその場で記録のパンチイン/アウトを行うこともできます。
記録の イン/アウト
「Recording Controls」のセクションでは、レコーディング前にあらかじめ定義されたレコーディング範囲を設定することができます。このセクションには、レコーディング範囲を設定するための「In」および「Out」ポイントを有効または無効にする「On/Off」スイッチがあります。InポイントとOutポイントは、Offになっている場合灰色で表示されます。
Inポイントでは、レコーディングが開始されるタイムコードの位置が定義されます(形式:「hh:mm:ss:ff」)。Outポイントは、レコーディングが終了するタイムコードの位置を定義します。
Monitor Attenuation(モニターの減衰)
「Monitor Attenuation」のセクションでは、Rendererのモニタ出力を減衰、減光、またはミュートするためのコントロールが提供されており、また、ベッドのみまたはオブジェクトのみをミュートするためのコントロールもあります。
このセクションの左側には、Rendererの出力全体のゲインコントロールを行う「Monitor Output Attenuation」コントロールがあります。Attenuation(減衰)はメーターの後に適用され、記録レベルには影響しません。減衰の範囲は、0.00 dB ~ -84.95 dB で、その時点で設定されている減衰値がdBフィールドに表示されます。 -Inf に設定すると、オーディオはミュートされます。
「Monitor Attenuation Controls」セクションのボタンには以下が含まれます。
- Dim - このボタンは、Dolby Atmos Rendererのスピーカー出力の信号レベルを下げる(減光する)ボタンです。減光はメーターの前に適用されます。このボタンでは、-20 dB の減衰が行われます。
- Mute - このボタンは、Dolby Atmos Rendererのスピーカー出力をミュート(またはミュート解除)します。
- Beds - このボタンにより、「Beds」がミュート (またはミュート解除) されます。このボタンが非アクティブ(灰色)になっている場合、「Beds」はミュートされていない状態です。これがアクティブ(赤)のときは、「Beds」がミュートされます。「Beds」は、入力の後、メーターの前にミュートされます。
- Objects - このボタンにより、「Objects」がミュート (またはミュート解除) されます。このボタンが非アクティブ(灰色)になっている場合、「Objects」はミュートされていない状態です。これがアクティブ(赤)のときは、「Objects」がミュートされます。「Objects」は、入力の後、メーターの前にミュートされます。
注意:外部モニターコントローラーを使用する場合は、設定の矛盾や重複を避けるためにも、Rendererの減衰、減光、ミュートの設定にはくれぐれも注意してください。
入力ステータス
このセクションでは、128個のRenderer入力すべてを表示し、識別しやすいように入力に番号を付けています。
128個の入力チャンネルそれぞれは円で表現され、信号やステータスの情報が表示されます。Bed(ベッド)オーディオの入力グループは、紫色の長方形で囲まれています。ベッドやオブジェクトでは、内側の円の色によって信号の有無やレベルが表現されます。オブジェクトの円を囲むリングの有無やその色、またはベッド入力を囲む長方形は、入力ステータスを表します。以下の画像は、異なる入力チャンネルに表示されるステータス情報の例です。
入力ステータスインジケーター
メイン画面の入力ステータスインジケーターには、モニタリングやレコーディング時、またはマスター再生時にドルビーアトモスのセッションでレンダリングされているBeds(ベッド)やObject(オブジェクト)が表示されます。
インジケーターは、入力チャンネルの役割(ベッド、オブジェクト、または未割り当てのチャンネル)を識別し、それぞれのチャンネル信号をリアルタイムで表示します。
ステータスインジケーターでは、色(緑、黄、オレンジ、赤)で塗りつぶされた円が表示され、チャンネルにその時点でオーディオ信号が存在することが示されます。再生が停止しているときや、入力信号を受信していないときには、色は表示されません。これらの色はそれぞれ、メーターと同じようにレベルの範囲を示します。
- 緑: –93 dB から開始
- 黄色: –20 dB から開始
- オレンジ: –6 dB から開始
- 赤: 0 dB
これらの色とレベルの関連付けは、「Room Configuration」「Metering」「Object View」でも使用されます。
入力チャンネル ステータス リング
入力ステータスの円を囲むリングの色は、関連するメタデータソースの状態を表しています。
ステータスリングでは、入力チャンネルにアクティブなメタデータソースが接続されているかどうかを示す色(ティール色=緑がかった青、灰色、なし、黄色)が表示されます。リングの色は、以下のステータスを示します。
- ティール色のリング(オブジェクトのみ):アクティブなメタデータソースが
オブジェクトIDに接続されている(例:Pro Tools Ultimateのオブジェクトパンナー)。
- 灰色のリング(オブジェクトのみ):アクティブなメタデータソースには、
入力が割り当てられていないが、入力はオブジェクトとして指定されている。そのオブジェクトは不使用。
- リングなし :チャンネルにベッドやオブジェクトが割り当てられていない(つまり、
入力が「Input Configuration」ウィンドウで “--” に設定されている。)
- 黄色のリング:オブジェクトが定義されているが受信するメタデータがないか、
受信するメタデータはあるがオブジェクトが入力で定義されていない。
紫色の 長方形
紫の長方形の中に表示されている入力チャンネルは「Renderer Input Configuration」ウィンドウで「Bed」として割り当てられています( Window > Input Configuration )。
Room Configuration(ルーム構成)
メイン画面の Room Configuration(ルーム構成)では、スピーカーへのRendererの出力が視覚的に表示されます。このセクションでは、任意のスピーカーへの出力をクリックしてミュートすることができます。複数のスピーカーを同時にミュートするには、それらスピーカーを含んだ範囲を選択し(ラッソ/なげなわ機能)、これをドラッグします。
ルーム構成では、「Input Grid(入力グリッド)」で使用される色と同様に、オーディオ信号を示す色付きのリングによるステータスインジケーターを提供しています。
スピーカーがミュートになると、スピーカーのドットの上に赤い X が表示されます。これをクリックするとスピーカーのミュートを解除できます。すべてのミュートを解除するには、「Room Configuration」セクションの下部にある「Unmute All」ボタンをクリックします。カーソルですべてのスピーカーをラッソ(なげなわ)ツールで自由に範囲を選択してミュートを解除すると、スピーカーをソロにすることができます。
OutputメーターとLimitingメーター
OutputメーターとLimitingメーターは、スピーカー出力とヘッドフォン出力の信号レベルに加え、空間コーディング、スピーカー、ヘッドフォンのリミッターによる減衰効果を、それぞれリアルタイムで視覚的に表示します。
スピーカー出力メーターは、スピーカー処理オプションが有効になっている場合(「Preferences」または「Settings」の「Speaker」タブ)、アクティブなモニターレイアウト(「Room Configuration」に表示)のスピーカー出力を計測します。ディスプレイには、現在のモニターレイアウトのメーターのみが表示されます。信号レベルは、フルスケールに対する相対的なデシベル(dBFS)で表示され、モニターの減衰コントロールの影響を受けません。スピーカー出力のメーターは、リミッター前に表示されます。
ヘッドフォンのL/Rメーターは、Headphone Processing Option(ヘッドフォン処理オプション)が有効になっている(「Preferences」または「Settings」の「Headphone」タブ内)場合に表示されます。スピーカー出力メーターと同様に、信号レベルはdBFSで表示されます。
3つのリミッティングメーター(空間コーディング、スピーカー、ヘッドフォン)はいずれも、「Preferences」または「Settings」で各リミッターが有効になっている場合、適用されたリミッターの量をdBFSで表示します。
リミッティングは、出力でのモニタリングのみに影響します。マスターレコーディング中にマスターに記録される内容には影響しません。スピーカー出力に適用されるリミッティングは、Dolby Digital Plus JOCへのエンコード時に適用されるリミッティングを正確に再現するように設計されており、ハードクリッピングを防ぎます。リミッティングをオフにするオプションは、主に診断ツールとして提供されています。出力のリミッティングはオンのままにしておくことをお勧めします。
メーター内のクリップを消去する
「Output Meters」セクションでは、フルスケールオーディオを超える信号により過負荷になったメーターの上部に、赤いクリップインジケータが表示されることがあります。この赤いクリップインジケーターをクリックするとメイン画面のメーターに表示されているクリップを消去できます。
ラウドネス測定
Rendererウィンドウでリアルタイムのラウドネス測定が可能です。この機能は、「Preferences」または「Settings」からデフォルトで有効化されます。有効になると、トランスポートが動いているとき(LTCをチェイスするとき、またはマスターファイルを読み込んで再生している最中)に、ラウドネス測定が稼働します。
ラウドネス測定は、ドルビーアトモス(選択された5.1ダウンミックスモードに基づき、リミッターが適用されている)とStereo(「Preferences」または「Settings」の「Headphone」タブで設定されているレンダリングモードにより、StereoまたはBinauralのいずれか)の間で切り替えることができます。
Reset(リセット)ボタン:このボタンをクリックすると、ラウドネス測定のディスプレイがリセットされ、すべての情報が消去されます。ラウドネス測定は、マスターを閉じたり開いたりしたときにもリセットされます。ラウドネス測定はタイムコードを意識せず、時間の経過とともに積算されていきます。リセットボタンは、同じセクションが何度も再生されるミキシング期間後に全体の読み取りに歪みが出てしまった場合に、全体の測定値をリセットするために使用することができます。
Pause(一時停止)ボタン : このボタンをクリック(ハイライト)すると、オーディオ再生中の計算が停止され、特定の瞬間のラウドネス情報の表示を取り込むことができます。もう一度ボタンをクリックすると、ラウドネス計算の受け取りが再開されます。この機能は、プログラム素材のラウドネスセクションを全体の計算から除外するために測定を一時停止する場合や、すでに測定に含まれているセクションを再度再生する際に測定を一時停止する場合に便利です。
ラウドネスメーター:これはリアルタイムのラウドネスの情報を表示するメーターペアです。S メーターは短期間のピークホールド用メーターで、M メーターは瞬間的なピークホールド用メーターです。どちらのメーターでも、信号レベルは LKFS( ITU BS 1770-4 規定)で表示されます。
ラウドネス測定ディスプレイ:
- 短期間:この値は、ラウドネスの3秒間のウィンドウを表します(LKFSラウドネスメーターペアの S メーターにも表示されます)。
- 瞬間的:この値は、ラウドネスを瞬時に読み取ったものです(LKFSラウドネスメーターペアの M メーターにも表示されます)。
- 積算:これはLKFSで積算されたラウドネス測定です(ITU BS 1770-4の規定)。
- 積算(ダイヤル):これはダイアログゲーティングを適用して積算されたラウドネス測定です(単位:LKFS)。
- スピーチ:ドルビーの音声検出アルゴリズムによって算出された、プログラム素材内のスピーチ(音声)の割合です。
- 範囲:プログラム素材のラウドネス範囲を示します(単位:LU)。
- トゥルーピーク:これはプログラム素材で検出されたtrueピーク値の最大値です(単位:dBTP)。
Object View(オブジェクト・ビュー)
メイン画面の右下にあるObject View(オブジェクト・ビュー)には、ご希望に応じてバーチャルのシアターまたは人物(ヘッド・ビュー)が表示されます。これらのビューは、Dolby Atmos Rendererによってレンダリングされたオブジェクトの位置、サイズ、信号レベルを視覚的に表現します。
「Object View」では、「Object番号」「Binaural設定」「Standardグループ」を表示することもできます。
Object番号の表示(下図参照)は、DAWのパンナーと入力を視覚的に関連付けるのに役立ちます。
Binaural設定のビュー(下図参照)には、「Binaural Render Mode設定」ウィンドウで設定されたObjectごとの距離設定が表示されます。
Standardグループのビュー(下図参照)には、「Input Configuration」ウィンドウで設定されたデフォルトグループのいずれかに属するObject(オブジェクト)のメンバーシップが表示されます。Dialog、Music、Effects、Narrationの各グループに割り当てられたオブジェクトについては、このビューでその所属が表示されます。Dialogグループに割り当てられたObjectは「DX」、Music(ミュージック)は「MX」、Effect(エフェクト)は「FX」、Narration(ナレーション) は「NR」と表示されます。ユーザーが作成したグループに割り当てられたオブジェクトは表示されますが、ユーザーが作成したグループ名は表示されません。
これらの設定には、キューブのアイコンをクリックしてアクセスします。
このアイコンをクリックすると、「View/Show(ビュー/表示)」パネルが表示されます。
側面が開いた四角のアイコンを使って、Objects View(オブジェクトビュー)を全画面表示に切り替えたり、戻したりできます。
オブジェクトの色
Objects(オブジェクト)は様々な色の状態で表示されます。
Object(オブジェクト)は、信号があることを示すために色付けされます。オブジェクトの色は、「Input Status(入力ステータス)」、「Room Configuration(ルーム構成)」、「Meters(メーター)」と同じ色の範囲で信号レベルを表します。
オブジェクトは、信号レベルがない場合、完全に透明で表示されます。
オブジェクトは、オートメーション中にも表示が変わります。オートメーションのために現在タッチされているオブジェクトは青く表示されます。
信号レベルを持つ他のすべてのオブジェクトは、オートメーションのためにターゲットオブジェクトがタッチされている間、色を維持したままやや透明になります。
オブジェクトのサイズ
オブジェクトのサイズは、オブジェクトの周りに後光として表示されます。オブジェクトのサイズ値が大きくなったり小さくなったりすると、それに比例してこの後光も大きくなったり小さくなったりします。
オブジェクトビューの回転
「Theater View(シアタービュー)」では、片側に画面の前面を表す白い長方形が配置されています。左側、右側、後ろ側の壁は透明の長方形で表されます。
「Theater」ディスプレイまたは「Person」ディスプレイは、回転させて視点を変えることができます。
「Theater」ビューまたは「Person」ビューを回転させるには、以下を行います。
- ボックスエリアをクリックして、左、右、上、下にドラッグします。
劇場を上から見下ろしたオーバーヘッドビューと利用可能なオブジェクトを表示するには、以下を行います。
- 「Objects View(オブジェクトビュー)」内をどこでもよいのでダブルクリックしてください。ビューは瞬時にオーバーヘッドビューに切り替わり、前面の画面が上部に表示されます。
オーバーヘッドビューから戻るには、「Objects View」内のどこかをもう一度ダブルクリックしてください。ディスプレイが瞬時にオーバーヘッドビューを開始する前の状態に戻ります。必要に応じて、マウス上のスクロール用ホイールやトラックパッドのスクロールジェスチャーを使ってオブジェクトビューを拡大・縮小することができます。
CPU メーター
Rendererには、処理負荷の高さを監視するためのCPUメーターやインジケーターが搭載されています。
オーディオのCPU使用率インジケーターが赤くなっている場合は、再レンダリング、アクティブな再レンダリング数、スピーカー処理、ヘッドフォン処理のいずれか(使用していない方)を無効にしてみてください。場合によっては、オブジェクトの総数を減らしたり、デフォルト以上のサイズを使用するオブジェクトを減らしたりする必要があります。
CPUオーバーロードアイコンは、CPUメーターセクションの右端にある最初のアイコンです。このアイコンが赤色になっている場合は、CPUの使用率が高すぎる状態であることを意味します。
アンダーランアイコンは、CPUメーターセクションの右端にある2番目のアイコンです。このアイコンが赤色になっている場合は、ディスクアクセスが遅く、オーディオのドロップアウトやその他問題を引き起こす可能性があることを意味します。
ステータスインジケータークリアするには、いずれかのアイコンをクリックします。
ステータスとエラーのインジケーター
以下を含むステータスメッセージが表示されます:「Initializing」、「Loading Master」、「Finalizing Master」。
エラーメッセージは一目で分かるようになっています。リストをRendererのコンテキスト付きヘルプメニューから確認いただけます。
Dolby Atmos Binaural Settingsプラグインステータス
接続されたRendererの「Input Configuration」と「Binaural Render Mode」は「Dolby Atmos Binaural Settings」のプラグインによって制御されます。このSettingsプラグインとRendererの間で通信が確立されると、入力構成がリモートで制御されていること、または開いているマスターファイルによって制御されていることを警告するメッセージが表示されます(Rendererでのソースの選択肢によって異なります)。
一度接続すると、「Renderer Source」が入力状態のときに入力構成を変更することができます。入力構成がプラグインから制御されている場合には、Rendererのメインウィンドウのステータスバーで表示されます。これらは青(接続済み、リモートコントロールが入力に適用されている、プラグインとマスターが同じ)またはオレンジ(プラグインの設定が開いているマスターの設定と異なっている)に点灯します。
ナビゲーション