はじめに
Dolby Atmos Rendererは、ドルビーアトモス マスターのレコーディングまたはエクスポートや、既存のマスターへの更新メタデータの書き込みに使われます。マスターは曲全体を記録することもできますが、インポイント/アウトポイントを使って(または手動にて) からパンチイン/パンチアウトすることも可能です。
マスターの記録
ドルビーアトモスミックスは、DAWからの再生中にRendererにリアルタイムで記録されます。
記録前に、RendererとDAWセッションの設定を確認します:
- プリロールを考慮に入れ、コンテンツがDAWのタイムラインの 00:00:00:00 より後に開始するよう確認してください。マスターファイルはこのポイントを越えて記録することはできません。また、プリロールなしに0時間で記録を開始すると、システムがロックされて記録が始まるまでの間、短い遅延が発生します。
- RendererとDAWセッションのフレームレート(fps)とサンプルレートが同じであることを確認してください。一致しない場合は、ドライバーの環境設定でRendererのフレームレートを変更し、DAW の設定で必要な変更を行ってください。
- 記録前に再レンダリング処理を無効にしておくことをおすすめします。ライブの再レンダリングは CPUリソースを大量に消費するため、記録時にエラーが発生する可能性があります。
インとアウトのポイントを使ってマスターを記録するには:
- Renderer内で [File] > [New Master File] の順に選択するか、 [Command+N] (Mac) または [Ctrl+N] (Windows) を押してください。 [Create New Master File] のダイアログボックスが表示されます。
- ダイアログボックスで、マスターファイルの名前を指定し、ディレクトリの場所を選択します。
- FFOA (First Frame of Action) の追加は、下流のエンコードプロセス開始の設定用に使用されるため、マスターファイルがプリロールで作成された場合にのみ適用されます。ポストプロダクションワークフローでは、アトモス エンコードの開始を対応するビデオの最初のフレームに一致させるために使用されます。
- [Create] をクリックします。Rendererが記録できるようになりました。
- Rendererウィンドウの右上にファイル名が表示されますが、記録処理が完了するまでマスターファイルセットはディスクに書き込まれません。
- [Sync On/Off] のボタン(時計のアイコン)を有効にすると、Rendererがチェイスモードになり、DAWからLTCへ同期するようになります。
- 記録用のインとアウトのポイントを設定する:
- 「Record In/Out」のセクションで、関連するスイッチをクリックして、下(有効)の位置に移動させます。
- [In] フィールドで、記録を開始するタイムコード値を設定します。
- [Out] フィールドで、記録を終了するタイムコード値を設定します。
- 記録ボタンをクリックして有効にします。ボタンは、[Record In/Out] が有効の場合は赤く点滅し、[Record In/Out] が無効の場合は赤く点灯します。
- [Record] ボタンが最初に押された際に、Rendererは選択したドライブに保存先フォルダを作成します。
- DAWから再生を開始してRendererの記録パスを開始します。
- 再生は、必ずタイムライン上の適切な位置で(特定された [In] ポイントよりも前から)開始してください。アクティブな [In] ポイントのタイムコード後に再生を開始しても、記録は行われません。記録開始前にDAWとRenderer間の同期ロックアップが正しく行われるためにも、5秒間のプリロールを推奨します。
- 記録開始時(または再生が [In] ポイントに達した時)に記録ボタンが点灯し、記録停止時(または再生が [Out] ポイントに達した時)には赤く点灯します。
- 記録が完了したら([Out] ポイントの後)、DAWからの再生を停止します。
- FFOAの追加または更新を促すメッセージが表示されたら、この時点で実行するか、[Cancel] をクリックしてください。
- マスターファイルは常にディスクに記録された最初の [In] ポイントから始まり、後続のドロップインは記録された既存のオーディオと結合する必要があることに注意してください。例えば、01:30:00:00に記録を開始したあとに01:00:00:00からオーディオを記録し直すことはできません。同様に、01:00:00:00から01:10:00:00までのセクションを記録した後、01:10:00:00から01:30:00:00までを記録せずに、01:30:00:00部分を記録することもできません。
- 記録は、インとアウトのポイントを使わずに手動で行うことができます。DAWで再生を開始し、[Record] ボタンをクリックしてマスターファイルからのパンチイン/アウトを手動で行います。DAWで十分なプリロールを行い、パンチインの前に同期ロックアップを正しく行えるようにします。手動で記録する場合は、マスターにオーディオギャップが生じないようにするため、DAWで再生を停止する前にRendererでパンチアウトすることをお勧めします。
マスターファイルセットの結果
Rendererは、[Create New Master File] のダイアログボックスで指定した保存先フォルダにマスターファイルセットを作成します。このファイルセットには、次の3つの個別ファイルが含まれています。
- .atmos: これはマスターファイルセットに含まれるプレゼンテーションの必須情報をXMLフォーマットで提供するトップレベルのファイルです。
- .atmos.metadata: これは、.audioファイル内のオブジェクトオーディオの3D座標すべてを含んだファイルです。
- .atmos.audio: このファイルには、すべてのベッドシグナルとオブジェクトのオーディオデータが含まれています。インターリーブされたPCMファイルで、コアオーディオフォーマット(CAF)で保存されています。