この記事で取り上げるトピック:
- Gain/Delay(ゲイン/ディレイ)
- Speaker EQ(Dolby Atmos Mastering Suiteのみ)
- シグナルジェネレーター
はじめに
Dolby Atmos Rendererでは、スピーカーのゲインやディレイを調整し(グローバルおよび個別)、オンボードのシグナルジェネレーターを使用する機能が提供されます。Dolby Atmos RendererをDolby Atmos Mastering Suiteとして実行すると、スピーカーごとのEQ機能も追加されます。
Dolby Atmos Rendererをモニターコントロールシステムと共に使用した場合、これらの機能が重複する可能性があります。Bass Management(ベースマネジメント)と同様に、他のソースをモニターする際に一貫性を持たせるために、ゲイン/ディレイやEQをRendererではなくモニターコントロールシステムで行う方が良い場合もあります。
スピーカーの設置やルームチューニングは本コースの範囲外の内容ですが、ピンクノイズとSPLメーターによる基本的なキャリブレーションは、オンボードのシグナルジェネレーターを使って行うことができます。
スピーカーのキャリブレーション
「Speaker Calibration(スピーカーのキャリブレーション)」にはメイン画面のメニューバーからアクセスします。また、「Command+K (Mac)」か「Ctrl+K (Windows)」を押してアクセスすることもできます。
「Speaker Calibration」ウィンドウのコントロールを使用して、グローバルまたはスピーカーごとにルームをキャリブレーションします。Gain(ゲイン)、Delay(ディレイ)、Equalization(イコライゼーション)の設定(Mastering Suiteのみ)を調整して、モニタリングチェーンに適したレベル、タイミング、トーンを実現することができます。
「Speaker Calibration」ウィンドウ(下図)は、「Gain/Delay」、「Speaker EQ(Mastering Suite のみ)」、「Signal Generator」の3つのセクションに分かれています。「Gain/Delay」タブと「Speaker EQ」タブでは、「Room Setup」ウィンドウの「Speaker」タブで定義された物理的なスピーカーが視覚的に表示されます。
Gain/Delay(ゲイン/ディレイ)
個別のスピーカーのGain(ゲイン)とDelay(ディレイ)は、必要に応じてスピーカーの出力をハイライトして新しい値を入力するか、上下の矢印をクリックして調整することができます。ここでの変更は直ちに適用されます。
グローバルな「Gain/Delay」の設定も可能です。
Speaker EQ
システムのゲイン調整と信号のタイム調整が完了したら、グラフィックイコライザーコントロールを使って各スピーカーのEQを調整し、残りの彩色効果を低減することができます。
スピーカーのイコライザーを調整するには、調整したいスピーカーをハイライトしてグラフィックイコライザーを調整します。ここでの変更はすぐに適用されます。
EQの設定は、該当のボタンを使って必要に応じてチャンネル間でコピー&ペーストすることができ、「Flatten」ボタンでリセットすることもできます。
グラフィックEQコントロールに加え、「Bass(ベース)」と「Treble(トレブル)」のシェルフコントロールがあります。トレブルの場合、ご希望の周波数(1 kHz、2 kHz、3 kHz、4 kHz)を選択して、高域のシェルビングを開始するポイントを設定します。
グローバルなEQ後のGain/Delayコントロールも提供されています。
シグナルジェネレーター
Signal Generator(シグナルジェネレーター)は、出力スピーカーのルーティングの確認に加え、キャリブレーションやチューニングの際にも便利です。
「Gain」「Delay」「EQ」の各ディスプレイで該当のスピーカーをクリックすることで、個々のスピーカーに信号を送信することができます。または、「Rotate」または「Rotate and Snap」のいずれかをオンにして、連続的に送信することもできます。
Rendererメイン画面の出力メーターは、どのスピーカーがアクティブかを視覚的に表示します。「Rotate」および「Rotate and Snap」のパン機能はオブジェクトをRenderer入力11として使用。Renderer入力11は「Object View(オブジェクトビュー)」で表示されます。
様々なソース信号をご利用いただけます。
なお、テスト信号の再生レベルは、メインのUI画面で設定された減衰量によって影響を受けます。キャリブレーションを行う前に、この設定が正しく行われていることを確認してください。