この記事で取り上げるトピック:
- Dolby Atmos Music Pannerのセットアップ
- Dolby Atmos Music Pannerの使用
- Dolby Atmos Music Pannerのテンプレート
はじめに
ネイティブのPro Toolsパンナーを使用してDolby Atmos Musicを作成できますが、ドルビーでは、Pro Toolsやその他のDAWで使用できる専用のDolby Atmos Music Pannerプラグインも用意しています。
Dolby Atmos Music Pannerプラグインは、複数のユニークなパンニングパターン、ステレオトラックのミラーパターン、オブジェクトの動きをセッションのテンポと同期するためのシーケンサーなど、音楽のミックスに最適な機能を備えています。
Dolby Atmos Music Pannerはプラグインのため、パンニングオートメーションとは別のプラグインオートメーションが書き込まれます。Dolby Atmos Music Pannerオートメーションは、Pro Toolsのパンニングオートメーションプレイリストには書き込まれません。
Rendererとの通信やオブジェクトへのマッピングはDolby Atmos Music Pannerプラグインで直接、かつDAWとは別に制御します。
Dolby Atmos Music Pannerプラグインのセットアップ
Pro ToolsでDolby Atmos Music Pannerプラグインを使用する際、Dolby Atmos Music PannerがI/Oバスページのオブジェクト入力に現在マッピングされている出力には使用できないことに注意してください。一部のトラックではネイティブのPro Toolsパンナーを使用し、その他のトラックではDolby Atmos Music Pannerを使用してミックスすることは可能です。ただし、Music Pannerを使用するためには、オブジェクトのマッピングを無効にして、物理出力がバスで使用できるようにしておく必要があります。セッションをDolby Atmos Music Pannerプラグインのみで使用し、オブジェクトのネイティブのパンナーでは使用しない場合は、Rendererの入力設定を使用するためにRendererとの通信を確立する必要があります。このワークフローでは、Pro Toolsの「I/O Setup Bus」タブでバスをオブジェクトにマッピングしないでください。
Dolby Atmos Music Pannerのセットアップ
- Dolby Atmos Music Pannerプラグインを、モノまたはステレオ音声トラック(「Soundfield」ドロップダウンリストでプラグインをカテゴリー別に並べると表示されます)に挿入します。
- 外部RendererのIPアドレス/ホスト名を入力するか、Rendererが内部で動作している場合はlocalhostを入力します。正常に接続されるとインジケーターが緑に変わります。
- 「Object」ドロップダウンメニューから、Dolby Atmos Music Pannerがパンニングメタデータを送信するRendererのオブジェクトを選択します。
- 使用できないオブジェクト番号はグレーアウトします。
- ステレオトラックに挿入した場合、オブジェクトのペアが個別に選択されますが、これは順番に設定する必要があります。
- 音声とメタデータが同じオブジェクトに書き込まれるよう、トラック出力を同じ物理出力にマッピングされたバスに設定してください。「Object」ドロップダウンメニューの項目は、DAW I/OおよびRendererの入力設定でマルチベッドを設定している場合でも「Object 11」から始まります。バス名がオフセットしている場合は、正しい出力が使用されているかを確認してください。
- Pro Toolsセッションで「Edit Window View Object」列を開く場合、バス/オブジェクトトグルがバスに設定されていることを確認してください。
- Window > Automationでグローバルプラグインオートメーションを有効にします。
- Dolby Atmos Music Pannerの「Plug-in Automation」画面からプラグインパラメータを有効にします。
- Window > Automationに移動してオートメーションを有効にします。
- XYZオートメーションは、「パック」から書き込まれます。XYZオートメーションは、以降で説明するシーケンサーパスからは書き込まれません。必要に応じて、ステップシーケンスからXYZオートメーションをPro Toolsのネイティブパンナーに書き込むことができます。これは、オブジェクトビューでオブジェクトコントロールモードを録音に設定した状態で、同じトラックを同じオブジェクトに割り当てることで可能になります。録音した後は、Music Pannerを無効にしてください。この操作は、音声がセッション内に移動してテンポマップの異なるバーに結び付けられる場合に必要になることがあります。
Dolby Atmos Music Pannerの使用
Dolby Atmos Music Pannerプラグインの基本的な機能は、ネイティブのPro Toolsパンナーと同様です。
- 「Elevation」トグルで設定された高さが有効になっています。
- 高さモードはフリーフォーム、ウェッジ、ドーム、シーリングと同じです。
- 位置機能はX、Y、ZとSizeで設定されています。
ネイティブのパンナーとの違い
- 仮想ルームには、人物のオーバーヘッドビューは1つだけです。
- 固定コントロールとゾーンコントロールはありません。
Music Pannerだけの機能には以下があります。
- モノまたはステレオトラックに実装できるモノ/ステレオバージョン。
- モノ/ステレオおよびステレオプラグイン用の独自のリンクモード。
- リンクモード:
- Mirror X – Xのみをミラーリング
- Mirror Y – Yのみをミラーリング
- Mirror XY – XYをミラーリング
- Copy – あるチャンネルでの操作を別のチャンネルにコピー
- シーケンサーモード – Dolby Atmos Music Pannerは、最大16ステップのダイナミックオブジェクトパンニングを作成できるシーケンサーを備えています。
- リンクモード:
シーケンサーの用途
シーケンサーはシーケンサートグルを使用して作動させます。
シーケンスが有効になると、シーケンサーがオフであったときに作成された既存のX、Y、Z設定は無視され、オブジェクトサイズは維持されます。
シーケンサーはセッションのテンポに固定され、ステップの継続時間はドロップダウンメニューから決めます。オプションは 1/16、1/8、1/4、1/2、1、2、4、8、16、32です。定義された各シーケンスパスはこの間隔で完了します。
シーケンサーの各ステップで動的なオブジェクトパンニングパスを作成・編集します。
シーケンスステップやパスを作成・編集するには:
- ラジオボタンでシーケンサーを有効にすると、ステップ1に白い輪郭が表示されます。
- 「Edit」をクリックしてステップ1のパスを作成します。輪郭が赤色に変わります。
- 4つの描画ツールの内のいずれかを選択し、動的なオブジェクトパスを作成します。
描画ツールにはフリーハンド、線、楕円、長方形があります。
また、任意でパストリップの方向オプションを使用できます。
ラウンドトリップパスでは、1ステップ内で描画パスに沿って動き、逆方向に戻るオブジェクトが表示されます。
リバースボタンパスでは、パスが描かれた方向と逆方向に移動するオブジェクトが表示されます。
- パスを描くと、シーケンサーが次のステップへ進み、ステップに白い輪郭が表示されます。この輪郭は編集可能なコンテンツが含まれていることを示します。作成中となる次のステップは赤色に変わります。また、他のステップをクリックすることもできます。ステップを順序通りに描写する必要はありませんが、再生は順序通りに行われます。
- ステップをスキップまたは無効化したい場合は、赤い輪郭が表示されているときにステップをクリックします。青からグレーに変わり、再生でスキップされることを示します。
- 希望するステップをすべて書き込んだら、「Done」をクリックします。
- 以前作成したステップを編集するには、「Edit」をクリックし、必要に応じて変更を行って、変更が完了したら「Done」をクリックします。
- 「Reset」ボタンを押すとシーケンサーのデータがすべてクリアされます。このボタンは「Edit」モードでもクリックできます。
バーチャルルームに表示される描画パスの色は、ステータスを示します:
- 青:オブジェクトパスは有効であり、現在編集不可能なステップ番号ブロックに属しています。
- 白:オブジェクトパスは現在編集可能なステップ番号ブロックに属しています。オブジェクトパスは有効にすることも無効にすることもできます。
- グレー:オブジェクトパスは無効なステップ番号ブロックに属しているため無効になっています。
- また、ブロックは現在編集できません。
Dolby Atmos Music Pannerのテンプレート
Dolby Atmos Music PannerプラグインインストーラーにはオプションのAAX、VST、AUコンポーネントがあり、Pro Tools、Ableton Live、Logic、Nuendo向けのテンプレートも付属しています。Pro Toolsテンプレートと一緒にインストールできる.pio I/Oセットアップも用意されています。Pro Toolsテンプレートには、以下の64の出力が定義されています。
- 7.1.2ベッド用モノトラック10個。ドルビーアトモスメタデータは必要ないため、ネイティブのパンナーが使用できます。
- Dolby Atmos Music Pannerプラグインを挿入したモノトラック16個
- Dolby Atmos Music Pannerプラグインを挿入したステレオトラック16個