この記事で取り上げるトピック:
- ドルビーアトモス「Renderer」の異なる構成
- DAWおよびドルビーアトモス「Renderer」
- システムクロッキングと同期化
- ドルビーアトモスのモニタリング
- ビデオモニタリング
ドルビーアトモス「Renderer」の異なる構成
ドルビーアトモス「Renderer」ソフトウェアは以下の方法で実行できます。
- 内部的にはDAWと同じワークステーションで
- 外部的には専用のレンダリング&マスタリングワークステーションで
- 一部のDAWに内蔵されているRendererをネイティブに使用
専用のレンダリング&マスタリングワークステーション(RMW)で外部から実行する場合、4つのプラットフォームとI/O構成を使用できます。ドルビー販売代理店では以下の構成を提供しています。
- Windows 10(カスタム構成されたDell 7920)、RME MADIおよび同期I/Oを搭載
- Windows 10(カスタム構成されたDell 7920)、Focusrite PCIeR Dante I/Oを搭載
- Mac(MiniまたはPro以上)、Focusrite PCIeR Dante I/Oを搭載
- Mac(MiniまたはPro以上)、RME MADIface XT I/Oを搭載
これらのオプションとその構成については、次のモジュールでさらに詳しく説明します。
DAWおよびドルビーアトモス「Renderer」
DAWは没入感のあるオーディオのためのクリエイティブプラットフォームで、ベッド/オブジェクトオーディオ、OAMD、ドルビーアトモス「Renderer」のLongitudinal Time Code(LTC)のソースとなります。
数多くのDAWプラットフォームがドルビーアトモス「Renderer」でご利用いただけます。
このトレーニングでは、ドルビーアトモス「Renderer」のAvid Pro Tools Ultimateでの使用法について説明します。Avid Pro Tools Ultimateはドルビーアトモス「Renderer」と連携した最初のDAWで、オーディオポストプロダクションと音楽制作の両方の環境で大きな市場シェアを有しています。以後、「Pro Tools」とは、「Pro Tools Ultimate」の使用を意味します。その他のDAWとその構成については、モジュール5および11で説明します。
DAWがドルビーアトモス「Renderer」に128トラックのオーディオを入力できるようにすることを推奨します。ドルビーアトモス「Renderer」への128の入力は、魅力的なコンテンツを作成するのに必須ではありませんが、この容量を持つことで、必要な柔軟性と、DAWとスタジオ間でプロジェクトを移動させる能力を確保できます。
それ以外には、高速ストレージの必要性も検討しなければなりません。これはトラック数の多いプロジェクトでは一般的な要件ですが、内蔵されるRendererのワークフローや、リレンダリングを同じワークステーションに記録する場合には、ストレージの速度と容量に特に注意が必要です。
専用コントロールサーフェスも検討すべき選択肢の1つです。ミキサーの中にはマウスで操作できるものもありますが、専用のコントロールサーフェスを使えば、没入感のあるオーディオを扱う際にさらに効率的に作業を進めることができます。特にPro Toolsでの使用に適したさまざまな価格帯のソリューションがいくつもあります。
システムクロッキングと同期化
専用のRMW上でドルビーアトモス「Renderer」を動作させているスタジオでは、マスターシステムクロック(MC)が必要で、すでに設置されている可能性があります。これはワードクロック(WC)ジェネレーターで、DAWインターフェイスとRendererのハードウェアに分散して出力されます。Danteシステムでは、ネットワークが同じソースを使用したPTPクロックにクロックされていない場合、WCにロックされた1つのデバイスを使用する必要があります。デイジーチェーン(WCをソースから直接分配するのではなく、複数のデバイスを介して接続すること)は行わないでください。
ドルビーアトモス「Renderer」がLTCとサンプル位置のズレによって記録が途切れてしまうことを防ぐためには、安定したシステムクロックが必要です。
DAWと同じワークステーションでドルビーアトモス「Renderer」を使用しているスタジオでは、使用しているインターフェースや構成によっては、専用のマスターシステムクロックは必要ないかもしれません。
ドルビーアトモス「Renderer」は、DAWからLTCをチェイスします。LTCソースには、Avid Sync HDなどのLTCジェネレーターとの同期インターフェースや、付属のDolby LTC ジェネレータープラグインを使用できます。
オーディオとLTCの間のレイテンシー値は、Rendererとハードウェアの構成により異なります。プリセット値はユースケースごとにRendererに入力されており、レイテンシー値はドルビーアトモス「Renderer」ソフトウェアで調整できます。
MIDIタイムコード(MTC)も同期に使用できますが、安定性の問題から推奨されません。
ドルビーアトモスのモニタリングとモニターコントローラー
ポストプロダクションのためにドルビーアトモスでミキシングを行う際には7.1.4のリファレンススピーカーレイアウトを、アトモスミュージックでは、9.1.4の拡張レイアウトをそれぞれ推奨します。ただし、多くの施設ではこれは現実的でないかもしれません。より多くのスピーカーでミックスすることが望ましいですが、5.1.4システムでアトモスコンテンツをミキシングしても問題ありません。上向きの民生用スピーカーは、音響的に処理されたスタジオ環境には適していないため、4つのハイトスピーカーは、実際のオーバーヘッドスピーカーでなければなりません。
注:スピーカーの配置、キャリブレーション、チューニングについては、別の資料で説明しています。
ドルビーアトモス「Renderer」に内蔵されているバイノーラルレンダラーを使ってヘッドフォンでモニタリングすると、ミックスの確認や外出先での作業に便利です。ミックスは必ず配信前にラウドスピーカーで確認してください。
ドルビーアトモス「Renderer」では、減衰機能やスピーカーのミュート・ソロ機能を利用できます。しかし、7.1.4対応の専用モニターコントロールシステムを使えば、より高度な操作が可能となり、必要に応じてフルBチェーン機能やソース切り替え機能も利用できます。
ビデオ再生
ポストプロダクションには、専用インターフェースを介したDAWからのビデオ再生が必要です。多くのPCIeまたはThunderboltオプションが利用できます。
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