この記事で取り上げるトピック:
- ドルビーアトモスマスターファイルの品質管理
- エクスポートしたドルビーアトモスマスターファイルフォーマットの品質管理
- サードパーティ製のツールを使用したドルビーアトモスマスターファイルの品質管理
- マスターファイルの品質管理の適切なリスニング環境
- チャンネルベースの配信物の品質管理
- 業務用ツールと民生用ツールを使用したMP4エクスポートの品質管理
- ドルビーアトモスの品質管理基準
ドルビーアトモスマスターファイルの品質管理
品質管理は、レコーディング後にマスターファイルファイナライズした時点で開始できます。
マスター.atmosファイルの品質管理はRendererから、音声のみ再生するか、DAWで再生するプロキシまたはリファレンスビデオに同期して実行できます。
エクスポートしたドルビーアトモスマスターファイルフォーマットの品質管理
配信物が、配信仕様に準拠したADM BWF(必要に応じてプレロールまたはポストロールを含む/含まない)の場合、品質管理パス用にエクスポートしたファイルを開きます。ADM BWFへのエクスポートは非破壊的ですが、最終配信物を品質管理することがベストプラクティスです。
マスターファイルの品質管理のリスニング環境
音声の品質管理は、7.1.4チャンネルリスニング環境で行ってください。品質管理専用の環境で行う場合、十分なアイソレーションと雑音基準(NC)レーティングを持つ部屋で業務用モニター/モニターコントロールを使用してください。これは、必ずしもミックス環境と一致する必要はありません。
チャンネルベースの配信物の品質管理
すべてのチャンネルベースの配信物(ステレオまたは5.1チャンネル)には、品質管理が必要です。これには、必要に応じてフルミックスやステムが含まれます。これは、ライブリレンダリングを使用するか、RendererからオフラインリレンダリングをエクスポートしてDAWにインポートすることでDAWで行うことができます。
チャンネルベースの配信物では、トゥルーピーク制限を達成するためにダイナミクス処理をDAWで行う必要がある場合があります。この場合、結果はディスクにバウンスされ、チャンネルベースの資料の最終配信物として品質管理する必要があります。
サードパーティの再生および自動品質管理プラットフォームを、配信仕様に準拠して導入することができます。
業務用ツールと民生用ツールを使用したMP4エクスポートの品質管理
Rendererでは、720pブラックビデオでドルビーデジタルプラスIOCでエンコードしたドルビーアトモスマスターファイルを使用してMP4ファイルをエクスポートすることができます。音楽コンテンツに対しては音楽エンコードモードを使用してください。
MP4(ブラックまたは差し替えビデオを使用)は、以下のような方法で品質管理を行うことができます。
USBドライブをサイドロードして、音声パススルーに設定し、ドルビーアトモス対応のAVRまたはドルビーアトモス対応のサウンドバーにHDMI接続したたブルーレイプレイヤーで再生する。
Safariブラウザから、ドルビーアトモス対応のAVRまたはサウンドバーにHDMIで接続したApple TV4kにAirplayで再生する。
iOSデバイスから、AirPods ProまたはAirPods Maxで、iOSのFilesアプリケーションを使用して再生する。ファイルは、AirDropまたはiCloud Driveを使用してiOSデバイスやFilesアプリに転送することができます。これにより、現在の再生チェーンをAppleデバイスで使用してモニターすることが可能になります(設定 > アクセシビリティ > AirPods > [AirPodsデバイス] > Follow iPhone: OFF)。
ストリーミング再生のオプションには、以下のようなものがあります(ただし、これ以外にもあります):
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- MacまたはWindowsコンピュータからPlexサーバーアプリケーションを経由して、ドルビーアトモス対応AVRまたはドルビーアトモス対応サウンドバーにHDMIで接続されたAppleTV4kのPlex Playerアプリケーションで再生する。
- ドルビーアトモス対応のAVRまたはドルビーアトモス対応のサウンドバーにHDMI接続したたAirplayで、Safariブラウザ経由でApple HLSとしてパッケージされたAWSストレージからストリーミングを行い、AppleTV4kに「プッシュ」する。
- HTTPサーバーとして設定されたMacまたはWindowsコンピュータからストリーミングを行い、Safariブラウザ経由でHLSパッケージされた.m3u8をAirplayを使ってAppleTV4kに「プッシュ」して再生したり、MPEG-Dashでパッケージされた.mpdをVLCアプリケーションからGoogle Chromecast Ultra4kで再生する。ドルビーアトモス対応のAVRまたはドルビーアトモス対応のサウンドバーにHDMIで接続する。
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最初に挙げたいくつかの方法は簡単ですが、その他は詳しい知識、労力、設定を必要とします。
民生用デバイスでの再生では、サウンドバー、さまざまなディスクリートスピーカー構成、アップワードファイアリングスピーカー、タブレットや電話上でのドルビーアトモスバーチャリゼーションなど、考えられるさまざまなリスニング設定でミックスの品質管理ができます。
MP4の品質管理も、MediaInfoを使用したファイルベース解析を行うDolby Reference Playerなどの業務用アプリケーションや、その他のサードパーティ製品質管理アプリケーションで行うことができます。
ドルビーアトモスの品質管理基準
ドルビーアトモスミックスの品質管理基準は、チャンネルベースの資料に使用される基準のスーパーセットです。以下のような、基本的な音声品質管理基準が適用されます。
- ファイルの長さ
- サンプルレート(チャンネルベースの資料)
- ビット深度(チャンネルベースの資料)
- ラウドネス仕様への適合性(LKFS/LUFS)
- トゥルーピークレベル(チャンネルベースの資料のみ)
- クリッピング/ディストーション
- ドロップアウト
- ヒス
- パチパチ音
- カチカチ音/破裂音
品質管理上の問題の報告は、お客様の要望(表現、重大度、形式など)に合わせて行います。
サードパーティ製の業務用品質管理プロバイダーが、一部の大手ストリーミングサービスでも公認されています。